いい機会なのでAKBについて語る

NMB48須藤凜々花の結婚発表で世間を騒がせているAKB系のグループだが、今回の騒動を通して私が考えたことをここですべて述べることにした。

 

恐らく、AKB系のグループは近いうちに終わるだろう。

 

はっきり言って、今のAKBはAKBではない。私が知っているAKBではない。知っているメンバーがいなくなったからだ。残っているレジェンドはせいぜい渡辺麻友指原莉乃ぐらい。

言ってしまえば私はAKBのファンではないが、ファンではなくとも、

 

前田敦子

大島優子

高橋みなみ

板野友美

篠田麻里子

峯岸みなみ

 

といった彼らを知っている人はそれなりにいるだろう。

 

結局、彼らがAKBの顔だったのだ。

 

世の中には様々なアーティストがいるが、どのアーティストにも名前を言われて真っ先に頭に浮かぶ顔があるはず。ONE OK ROCKならバンドとして一番目立つボーカルのTakaなど。

 

それがAKBなら、AKBの顔になれる存在は限られてくる。大勢いる中で、いくらファンでもAKB48と言われて、メンバー全員の顔が頭に浮かぶわけではあるまい。特にアイドルの場合はファン一人一人に「推しメン」がいて、その人にしか興味がないこともあるかもしれない。もっとも、それはAKBが好きなのではなく、推しメンが好きなだけとも言える。

 

というように、AKB系のグループは人数が多く、全員の顔と名前を一致させるのは相当な時間がかかる。その中でAKBの顔と言われるようになるには、大きな個性を出さなければならない。

 

しかし、AKB系のグループは他のアーティストとは違い、メンバーが入ったり、出ていったりするのが当たり前の構造になっている。先程名前を挙げた彼らも、その内卒業したメンバーは、元からいずれ近いうちに卒業する運命だったのかもしれない。

 

しかし、一度組織に顔が確立すれば、新たに顔を作るのはほぼ不可能と言っていい。AKBの場合、前田敦子大島優子といったレジェンドがいてAKB48というユニットが成立すると言っても過言ではないからだ。他のメンバーでは無理なのだ。

 

なぜ私がこれほどまでに「組織の顔」を重要視するのかと言うと、実際にメンバーが入れ替わって別の組織のように変わったバンドを知っているからだ。それはドイツのメタルのバンド「ハロウィン」である。

 

まず最初に言うとバンドの場合、音楽の中核を成すのはボーカルとギター。ドラムとベースはメンバーが入れ替わってもさほど変化は少ない。

 

ではハロウィンはどのようなバンドなのか。最初にカイ・ハンセンというギタリストがハロウィンを立ち上げる。元々カイは自分がギターとボーカルを両方努めるスタンスをとっていたが、自分のボーカルに限界を感じて、後にボーカルに特化したマイケル・キスクというボーカリストを迎え入れる。するとハロウィンは世界でヒットし、マイケルとカイの2人のコンビ(実際には他にもメンバーがいる)はドイツのメタル「ジャーマンメタル」というジャンルを形にする伝説を作る。2人はハロウィンをそれほどまでにブレイクさせたのだから、彼らこそがハロウィンの「顔」と言える。

 

しかし、後に2人はハロウィンを脱退してしまう。現在いるメンバーは全く違う。だが、ハロウィンを通して伝説を作ったマイケルとカイがいない以上、残ったメンバーがいくらハロウィンを名乗ろうが、出来上がる曲はまるでハロウィンではない。

 

さらに言うと、実はマイケルとカイは「ユニソニック」というバンドを結成することで再び巡り合うことになる。この時点で私に言わせれば、彼らはユニソニックとは名乗っているけれど、こっちが本物のハロウィンだ。ユニソニックとしてライブをするときも、2曲ほどハロウィン時代の曲を披露することもある。

 

 ではこれをAKBで話すのであれば、前田敦子などのレジェンドがいなくなったAKBは最早別グループで、レジェンドだけが再び集まって出来たグループを本当のAKBと呼んでもいい。

 

…というように、メンバーの入れ替わりがグループにとってあまり良くないことを述べたが、その他にAKB系グループの構造にも問題がある。

 

AKBはアイドル。それが本業。とにかく自分を見せなければならない。AKBにとって音楽はそのための道具にすぎない。それは別にいい。

 

そもそもの疑問点は、総選挙やじゃんけん大会の存在なのだ。自分をアイドルとして売るのなら、自分の思うままに行動を起こせる権利があっていいはず。しかし、総選挙やじゃんけん大会で1位にならなければセンターを獲得できないという、メンバーの意思を全く無視した運営陣の好き勝手のやり方では、メンバーの行動意欲の向上には繋がらない。

 

また、先程も述べた通り、AKBの顔はとっくに確立されている。同じ人ばかりが総選挙で1位になるなら、尚更その証拠になるのではないか。これでは、大人数の中でいかに自分が他のメンバーより抜きん出るかという競争が生まれるどころか、逆にその意欲を阻害してはいないか。総選挙に独占禁止法を当てはめるなら、とっくに違法だ。

 

こういった構造のみならず、大人数という環境、衣装の一つであるなんちゃって制服という要素が揃っていて、特に高校生大学生という年齢のメンバーが集まっているところが、どこか学校感覚になってしまっていないか。

 

大人数では極々一部のメンバーしか輝けないのはもういいとしよう。だが、秋元康をはじめとした運営陣の操り人形状態では、確実にプロ意識が育たない。もちろん、それと同時に自分が起こす行動への責任感も生まれない。

 

今回の須藤凜々花の騒動は正にそれだ。恋愛が禁止されているにもかかわらず、大勢の目の前で堂々と「結婚します」と、普通言うだろうか?別にルールに疑問を持つのはいい。だが、そのルールを覆す力がないのなら、せめてアイドルなんてやらないべきではないか?今回の総選挙で、須藤凜々花のファンが彼女のためにどれだけお金を使ったのか?結婚発表など、そのファンの期待を込めた行為を裏切るものでしかない。また、結婚を発表することで、世間がどんな反応を示すのか考えたことはあるのか?恐らく須藤凜々花は、まだ他人を理解し、思いやる心が未熟なのだろう。そのような人物が表舞台に出るべきではない。

 

残念なことに、AKBの問題ある構造は、大島優子にも及んだ。須藤凜々花への批判動画が、かえって自分が批判される結果になってしまった。公に出すべきではない「F◯CK」の文字を使ったからだ。間違いなくAKBのレジェンドであるはずの大島優子が、自信のイメージを損なうこの行為は、予想外のタイミングで結婚を発表したことに気持ちの整理が追い付かず、とりあえずルールを破った人物を批判しようという感情的なものだろう。これこそ、下品な言葉を使って批判することで、世間がどんな反応を示すのかを考えたかは非常に疑わしい。

 

…というように、どこか学生じみた軽率な行動が目立ちがちなAKBは、もう潮時だ。大人数で顔が限られ、しかも近いうちに卒業するのが運命のグループの寿命はそう長くはもたない。その上、プロ意識の向上に積極的でない、型にはめた構造は、今では時代遅れなのだ。時代遅れは罪だ。

 

世界では、完成されたものを魅せていくのに対し、日本は未完成のものを、未完成のまま表舞台に出し、その成長をファンもサポートする、いわば、ファンと共に完成に導くことに重きをおく国と言われている。言うのであれば、物に完成形はなく、努力次第でどこまでも伸びるという考え方だ。

しかし、今のAKBはいくらなんでも未完成すぎる。未完成でも持ち合わせるべき道徳や社会常識が欠如していないか。今回の騒動で信頼を失った須藤凜々花に未来はない。

 

最早、AKBに残ったのは渡辺麻友指原莉乃だけ。この2人がいなくなった時が、AKBの終焉だ。